安楽寺様の場合

【初盆、灯上げ盆を迎える皆様へ】

(1)お盆の由来
皆さんが日頃「お盆」と呼んでいるこの行事は、正式には「盂蘭盆会」といいます。盂蘭盆とは、インドの古い言葉『ウランバーナ』に漢字を当てたもので「逆さに吊るされているような苦しみ」という意味です。お盆は、こうした苦しみの中にある人々を、現世の我々が供養し、その功徳によってお救いしようとの願いを込めて営まれる仏教行事です。餓鬼道[常に餓えと渇きに苦しめられる世界]に堕ちた母を救った目蓮尊者の物語が起源です。〔※(3)「餓鬼道」の項を参照下さい〕

(2)お盆のお祭の意味
「お盆」は、新しく亡くなられた精霊だけを、おまつりするのではなく、お家のご先祖様は、もとより全ての精霊(有縁、無縁)に対して供養を施すことです。
私達が今、生活をしているのはご先祖様からの恩を受け、さまざまなものからの恩も受け、さまざまのものから供養されて、生きているのです。

(3)『施餓鬼』供養
お釈迦様のお弟子である目連尊者の母は餓鬼道に堕ち、餓えと渇きに苦しんでおりました。お母さんにかわいがられていた孝行者の目連は、母を救おうと、その方法をお釈迦様に尋ねられます。お釈迦様は「お前の母親は、お前にとっては、やさしい母であったかもしれないが、実は大変欲深く、自分さえ良ければ他人なんてどうでもいいという自分勝手な母だったのだ。そのために餓鬼道に堕ちたのだ。お前一人の力ではどうすることもできないから大勢の僧に施しをし、お前の母や、苦しんでいる多くの者のために供養をしてもらいなさい。」とお説きになりました。「お盆」と「施餓鬼」は本来は別々のお祭りですが[すべての精霊に施しをし供養する]という目的から、お盆に合わせてお祭をして頂いております。
安楽寺では「お施餓鬼」として初盆、灯上げ盆のときに、「水施餓鬼札、五如来幡」での施餓鬼供養をお願いしております。
お盆の送り火の後(忘れた場合は後日夕方)にお札に少量のお供物(水に溶けやすい干菓子、落雁等)を包んで川に流してください。
お札はお寺にてご供養をすませています。

「水施餓鬼」の供養
少量の供物を大自然(川の水の流れ)の力ですべての迷うものを満たすことのできる広大な供物としての方法です。「お盆」や「お施餓鬼」は「施しの心」をもって、全てのものに接するという気持ちが大切なのです。

(4)七月盆、八月盆、旧暦盆
高知では7月(新暦盆)にお盆をされるお家、8月(月遅れ盆)にされるお家、旧暦盆でされるお家と、お家によってお盆のスケジュールが異なります。いずれのお盆でおまつりされるかは、お家や習慣やお仕事のご都合によっても異なります。また、初盆、灯上げ盆のお家では、近親者が集まって御先祖様と共に会食されることもあろうかと思います。いずれにせよ、お盆の三が日は充分におまつりできるようにつとめてください。

(5)灯ろう飾りと、おまつりのスケジュール
初盆、灯上げ盆のお家では、お盆の三が日を中心に1ヶ月間灯ろうを吊って新精霊をおまつりします。灯ろうは、お家で用意される方もいらっしゃいますが、ご親族が用意してくれる場合もありますので、親近のかたに相談されるといいでしょう。

★灯上げ盆が終わって灯ろう灯入れ期間が終わりましたら、盆灯ろうはご自宅の庭で焼却し灰を少し川か海にお流しください。焼却できない場合は、お寺にお納めくださっても結構です。
(ただし電球やコード類の燃えないものは取り除いてお納め下さい。)

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